頭皮細胞が死亡?事故や運動の怪我で毛が生えない場合

人の髪には成長から退行・休止というヘアサイクルがあります。
個人差はありますが男性のヘアサイクルは3年から5年、女性は4年から6年というのが一般的です。
このヘアサイクルが乱れることで毛母細胞の活性化が低下し薄毛になるタイプと、薄毛といっても頭部に怪我ややけどなどを負ったことで髪の毛が生えなくなるタイプがあります。

この薄毛を頭部瘢痕といい、手術や外傷などの後に見られる傷跡にも発生します。
キズ痕を何針か縫い合わせた場合、瘢痕性脱毛症と呼ばれます。
細菌の感染や事故などの外傷によって、毛母細胞の元となる幹細胞が破壊されてしまったために起こります。
怪我など外傷が原因となるため、頭全体や円形脱毛症と違い、他の部分の髪は問題がありません。
表面的な皮膚の怪我であれば毛根が死滅することはありませんが、怪我が深い様なときには毛根の細胞群が死滅してしまいます。

また、細胞自体は生きのびていたとしても、皮膚の再生する過程で肉芽を形成して大きく盛り上がってしまい、毛穴を塞いで仕舞う場合もあります。
肉芽の出来易さは個人の体質にもよりますが、切り傷などを塞ぐ時にでき易くなります。
この肉芽のせいで髪の毛が外へ出てこられなくなり、部分的にはげて仕舞う場所ができます。

この薄毛の治療方法は育毛剤や、医療機関でのメソセラピーでも効果はありません。
最新医療のハーグ療法などであっても、現在残っている毛根細胞群を活性化させるだけに留まってしまいます。
頭部瘢痕の治療は、植毛することで治すことができます。

植毛は人工的な髪を植え付けるのではなく、髪の生えている頭の目立たない場所から、自分の細胞を採取して移植することを指しています。
自分の頭から毛母細胞を死滅してしまった部位に移植するので、自毛植毛とも呼ばれています。
ただ自毛植毛の場合は定着しないことがあります。
まだ人のiPS細胞をマウスに移植して成功した段階ですが、自分の細胞を使った頭皮への移植ならば無理なく細胞を活性化してくれるとされています。

頭部瘢痕の幅が細ければ、医療機関の形成外科で保険診療内での瘢痕切除が可能です。
瘢痕を除去した後、縫い合わせる手術(瘢痕形成術)を行うことで1本の線状のキズ痕になります。
これでもキズは小さくなりますが、日本人の髪は黒いのでまったく分からない状態にはなりません。

この場合にもキズ痕への毛母細胞の移植をすることで、さらに目立たなくすることが出来ます。
キズ痕の状態にもよりますが、複数回に分けて移植することが望ましいといわれています。

毛母細胞が死滅していると髪は生えてこない

毛穴の最底部に、皮膚が小さく盛り上がった突起状の組織があります。
毛乳頭と呼ばれる部分で、皮膚の一部なので毛細血管が通っています。
髪の毛に栄養を運ぶ役割などを果たしていて、この毛乳頭の周りを取り巻くように存在するのが、毛母細胞です。

毛母細胞という字のごとく、毛を作る細胞で、毛母細胞は毛乳頭から栄養を受け取り、活性化されて細胞分裂をしていきます。
細胞分裂を繰り返し、細胞が増えていくことで作られた毛は上に押し上げられます。
毛穴の中にあるので、毛母細胞は自然と細長く形を形成していき、上に伸びて行きながら角質化して髪の毛と呼ばれるものになるのです。

この毛母細胞は毛乳頭の周囲の細胞なので、毛母細胞が破壊されてしまうと血液を通して栄養補給できなくなります。
そのために細胞分裂を行って毛を作り出すことが不可能となり、髪が生えてこないという事態が発生します。

自己免疫疾患などで毛母細胞の死滅してしまう場合、治療方法として植毛が多く行われてきました。
さらに各大学など医療機関によって、人のiPS細胞を利用した毛包の再現の成功が発表されました。
毛の幹細胞はバジルと呼ばれる部分にあり、毛を作る構造は殆どここに存在します。
毛包の機能が完全に失われる瘢痕性脱毛にも、iPS細胞を利用した細胞の再生が可能となります。